菜月さんの月

菜月さんの月

1996.11月 菜月(1)

【写真1】

1996.11月 菜月(2)

【写真2】

1996.11月 菜月(3)

【写真3】

今回は、【写真1】について主に考察していきます。
この写真について気が付くこととして、以下のようなことが挙げられました。

1)重厚な感じの家、木に植物の葉がからまっていることで、さらにその重厚 さの印象が強まる。しかし、暖かみもあり、手入れされていて小奇麗な感じもす る。
2)全体的に茶がベースの色で、それに緑色やグレーなどが加わる、やはり落 ち着いた感じを与える。
3)木造の家や植物など、自然の風合いを感じさせるのに、真ん中に、鉄製の 雨水受けが釣り下がっている。これは、色的には暗くて目立たないが、全体のト ーンの中では、異質な感じを与える。特に、明るい茶の壁と植物の前、そして写 真のちょど真ん中にでーん、とつるされている。画面の9分割でいうと、これは 中心のライン、月-太陽-土星-冥王星のラインにかかる。しかし、1番下の月 の位置には、少しかかるだけで、その下には、淡い明るい黄緑の葉がある。
4)家の入り口へ続く道は、左下から、画面中央へ向かっている。これは、グ レーのコンクリートで出来ている。
5)全体的に画面の右側の方が暗く、左側の方が明るい。空が見えているのは 、右上のわずかなスペースだけだ。特に、左上は、最も暗い。
6)左上から、右上にかけて、濃い茶色の柱が渡されている。これは、その色 味からも、とても重い感じがする。

これら、気が付くことを、菜月さんのチャートを見ながら考察してみた。
まず、菜月さんの月は、牡牛16度で、第2ハウスにある。アスペクトは、第 8ハウス蠍座の水星とオポジション、第6ハウス乙女座の金星、冥王星とトライ ン。

1)の重厚な感じの家、というのは、牡牛座で第2ハウスということから納得 できる。第2ハウスは牡牛座の本来のハウスでもあるため、その特徴はとてもよ く出ているようだ。第2ハウスや牡牛座は、自分の持物や資質を安全に保存しよ うとする場所だ。居心地の良さを求める場でもある。その意味で、家の写真とい うのは、とてもそれらしい。重厚ではあるが、植物がからまるなど、自然な感じ をあたえるのも、地のサイン牡牛の特徴だ。
そして、全体的な小奇麗さは、第6ハウス乙女座の金星、冥王星とのトライン によるものだろう。第6ハウスということで、日常的な手入れ、また訪れる人に 対し不快感を与えないように、というふうにわずかに巻き付くに止まっているの は、無造作でなく、乙女座的な控えめささえ感じられる。
また、第2ハウスのカスプは牡牛座なので、第6ハウスの金星は第2ハウスの ルーラーだ。その意味でも、自分にとって居心地のよい場所を確保したい、とい う第2ハウスの欲求は、怠惰な性質にはならずに、第6ハウスのきちっと管理す る、という活動によって積極的に使われる。

2)色について考察してみよう。
・茶は、普通、固定化する傾向、地に固着したもの、親密さ、などを表す。ま た、茶色は融合の色であり、奉仕、犠牲の色とも言う。焦茶だと、渇望となる。
・一方、緑は、疲労、虚弱、悲哀などを表す。また、安全性への傾向や、恐怖 を取り除く効果もある。バランス感覚と、自己治癒への願望だ。
・グレーは、否定の色で、最も陰性の色。自己否定、回避、無関与、また、内 気、躊躇、疑念の色だが、他の全ての色を引き立てる。また、規則に縛りつけら れることを嫌う性質もある。

これらから、茶-緑の組み合わせとして、馴染んでしる安定した場での安らぎ を求めているように感じる。どちらも、安定性と関係した色で、この組み合わせ は矛盾のないものだ。この茶-緑も、やはり第2ハウス牡牛座の月であることの 現れだろう。矛盾のない色の組み合わせ、というのは、牡牛座が本来の位置の第 2ハウスにあるためかもしれない。それは矛盾はないが、こじんまりと、自分の 領域だけにとどまっている感じもする。

3)鉄製の雨水受けは、画面中央の上から降りているが、最も重々しく感じら れるのは、中央のラインの中でも、中央の太陽の位置だろう。ここには、明るい 茶の壁の前に、まるで主役でもあるかのように、緑の植物が陣取っている。この 植物は、画面上で、ほとんどぴったりと真ん中にあるため、目を引く。そこが、 中心だ、と執拗にいっている感じもする。ある意味、マークされた場、ともいえ ないか。焦点がここにあって、注意がこの点に集中するのであって、逆にこの点 から放射状に拡散していく感じではない。

さて、菜月さんの太陽は、第7ハウス天秤座にある。アスペクトは、天頂の火 星とセクスタイル、アセンダントの上のキローンとインコンジャンクトだ。そし て、第7ハウスの天秤座は、インターセプトとなっている。
写真に現れた太陽の位置の感じは、菜月さんの太陽が、インターセプトのサイ ンにある、ということと関係していそうだ。インターセプトのサインに入ってい る天体の力は、ゆっくりと自覚され、発揮される。歳をとるにつれ、その天体の 力は自覚されてくるが、若いうちは、自分で気が付きにくい。それは、インター セプトのサイン自体が、ハウスのカスプとならないということで、ハウスという 現実的な活動での衝動の原点となりにくいからだ。
さらに菜月さんの場合は、第7ハウスで天秤座という、どちらも他者や外界の ものを通して自分を確認しようとする位置にあり、これは相手や外界に投影しや すい場所でもあるため、インターセプトのサインは、さらに自分にとって、自己 同一化しにくい状況にある。
太陽の位置が凝縮した感じで、放射状に広がっていない、というのは、太陽と いう“自我”を基盤にして、そこから状況を自分で広げていく、という作用がお きにくくなっている状況ではないか?凝縮した感じを“閉じ込められている”と 言うならば、それは文字どおり、“閉じ込められている”インターセプトの状況 のように見える。 菜月さんは、今、太陽の年齢域にあるので、そのような太陽 の力を開拓していく時でもある。

4)“自然”な感じを与える茶-緑に対し、左下のグレーは、人工的で、冷た い印象を与える。よく見ると、家の下の方も、コンクリートで出来ており、色は グレーだ。9分割では中心が最も明るい茶で自然な風合いを見せているが、その 基盤となる下部(とくに左側)に人工的な冷たさがある。
ここは、9分割で水星の位置になる。菜月さんの月は、第8ハウス蠍座の水星 とオポジションなのだ。金星、冥王星とトラインであるための、全体的な小奇麗 さや居心地のよさそうな感じと比べ、この水星とのオポジションは、やはり緊張 した感じを与える。あるいは、グレーという、陰性で否定的な要素のある色のた め、暗い感じがする。それは、第8ハウス蠍座ということで、活発というよりは 、内に秘めた奥深い感じの水星の活動となりそうだ。
第8ハウスはオカルトなどにも関連する。このオポジションの水星が、第2ハ ウス牡牛座で居心地の良い月の性質を変えようとする。月の側から見れば、それ は傷つけられることになる。ただ、どちらも固定宮にあるので、柔軟宮でのよう に自己が揺れ動くことはないが、その変わりに、固定宮では変化の衝撃は強い。
第8ハウスの水星によって、未知のものに興味を持つと、第2ハウスの月はつ らくなる。しかし、第2ハウスで牡牛座である、という、外に開けていく可能性 のあまりない月に変化をもたらそうとするなら、オポジションの水星は良いだろ う。

菜月さんは、以前からアロマテラピーが好きで、勉強していた。アロマテラピ ーというのは、五感に関係するということで、第2ハウス的な領域だ。第2ハウ スの自然素材的なものと、第8ハウスの目にみえない危なさをうまくミックスす るのには、よい方法だ。菜月さんの月は、第5ハウスのルーラーなので、その活 動には、遊び的な楽しさがあるだろう。

さて、写真では、このグレーのコンクリートの道は、太陽の位置である中央に 向かって伸びていることにも注意したい。水星は、太陽とはアスペクトはないが 、この1枚の写真は月の写真である、ということから、あえて、中心を9分割で の太陽と見ずに、菜月さんの月にとって、水星が、中心へと導くものとなる、と 考えられないだろうか。
ユング派、またグリューンヴァルトの絵の分析法においては、画面の左下は始 まり、起源、誕生、水などと関係し、“象徴的無意識”の表す場所と言われる。 画面の上部は精神、意識を、下部は物質、無意識を表す。左側は過去や内向性を 、右側は未来や外向性を表す。右上は人生での目標の場で、積極的に活動的する 場だ。
グレーの道は、右上にまでは達していないが、右上へとのびるライン上にある 。少なくとも菜月さんの水星は、過去に根差した奥深い領域から、より現実的な 実現へと向かおうとしていることが分かる。

ところで、この水星とオーブ6度で、第8ハウス蠍座に海王星もある。海王星 は菜月さんのチャートルーラーであるので、重要な天体だ。チャートルーラーが 第8ハウスにあると、神秘的なことへの興味、となるが、その天体が海王星であ るため、その傾向はいっそう強いものだろう。
第8ハウス蠍座の海王星は、心霊的で、予知夢などに囚われることがある。も しこの海王星が第9ハウスにあったなら、オカルト現象を客観的に観察する。だ から、いかにオカルトに興味を持っても、その状態に本人の心身が囚われること はない。ところが、第8ハウスでは、第9ハウスのように現象を外側から客観的 に見ることができないので、自分の心身が囚われてしまう。ある意味で、本当に その状態を経験するのは第8ハウスだろう。
菜月さんの水星は、このような性質の海王星に影響されたものだ。あるいは、 水星の知的興味は、超自然的な性質を持った海王星に向けられる。これは、第2 ハウス牡牛座の月という非常に安定した印象と、正反対だ。まるで、第8ハウス の危なさを、第2ハウスの安定性でバランスをとっているようでもある。
ところで、その危ない海王星について、9分割での海王星の位置(右上)はど うかというと、ここは画面のなかで最も暗くなっている。

5)上に述べたように、画面の向かって左側は過去や内向性、右側は未来や外 向性を表す。惑星で言うと、左側のラインは、下から水星-火星-天王星、右側 は、下から金星、木星、海王星だ。しかし、金星の位置には明るい緑の葉があり 、暗い印象は少なくなる。

月の写真において右側が暗いということは、菜月さんのメンタリティは、外界 への興味、馴染みやすさが、内的な興味や充実感に比べて、少ないというという ことだ。それに対し、左側が明るく、空も見えているのは、やはりまず自分自身 の居心地のよさや、内的な安全性に明るいものを感じているようだ。
とはいえ、右側にあるのは、冷たいコンクリートの壁などではなく、陽の光に よって育っていく植物であるので、外的な要素を取り入れ、育てていこうという 感じはある。しかし、木星から海王星にかけての位置にある木は、写真の中でも 最も大きく、暗い色の木であるため、その育成は、ゆっくりと時間をかけた、気 長なもののようだ。

それに対し、金星から月の位置にある植物は、明るく、小さくかわいらしい感 じで、月や金星という、社会的な状況をあまり考えなくてよい、純粋な自分の外 に対する興味の部分では、かなり楽しんでいるようだ。
この葉の色は、黄色がかっているが、黄色は、活発さ、楽観性、自由、内面的 な安定や明るさなどを表す。生き生きとした感じだ。
この黄色は月から金星の位置にあるが、それはそのまま菜月さんのチャートの 、トラインの月と金星のようだ。同じ地のサインであり、アスペクトをとること から、それぞれの部位にほとんど同じものが写っていることは、興味深い。

その意味で言うなら、真ん中につるされている雨水受けも、月から冥王星へと のびるライン、つまり月と冥王星のトラインのアスペクトのようにも見える。
この雨水受けは、ちょうど月の位置で、黄色の葉に達している。月の位置の明 るさ、楽しさを、冥王星まで引き上げよう、あるいは冥王星の力が月の明るさ、 楽しさに良い影響(トラインのため)を及ぼしているというように見えてくる。

さらに、左側には、小さくて目立たないが、柱に付けられた郵便受けがある。
写真の全体からして、家の外壁しかみえず、その玄関も見えない構造は、家の 外と内が、はっきりと区別されている感じだ。その中で、玄関に続く左側の道は 、内と外をつなぐものだが、それでもその先は壁に隠れていて見えない。
そんな中で、小さくはあっても、郵便受けというのは、通信の手段を受け取る 場所で、内と外のコンタクトの象徴のように見える。
この郵便受けは、画面の左側、9分割で、火星の位置にある。左側にある、と いうのがおもしろい。普通、外界とのコンタクトは右側が表すからだ。しかし、 手紙という、あるクッションをおいた他人とのコンタクトの手段であるものを、 受け取る郵便受けというのは、ある意味、無防備に開かれた外界への関わり方で ある右側よりも、より内的な表現のなされる左側にあって、納得のいくものだ。 少なくとも菜月さんにとっての内的な活動は、ここにポストがあることで、外界 へのコンタクトの手段を持っている。
この郵便受けのあるのは、火星の位置だが、菜月さんの火星は、第9ハウス天 頂にあり、MCとオーブ2度でコンジャンクションだ。天頂という、最も社会的 評価を重視する場にあることが、興味深い。つまり、菜月さんにとっては、火星 が最も社会的に打ち出しやすい天体なのだろう。この火星は、第6ハウスの木星 とトラインだ。

6)画面上部の、柱をつなぐ木の柵。これは、色の濃さから重々しく感じる、 と上に書いたが、そもそも、柵の役割とはなんだろう。こちら側から見て向こう 側へ行けない、ということは、逆に向こう側へ行ってしまうのを防ぐ、また向こ う側からやって来るのを防ぐことだ。家の上にわずかに屋根が見えているが、屋 根というのも、下の空間を保護するものだ。
柵も、こちら側を保護するものだ。この柵の下には、植物が生えている。その 植物は柱を伝ってこの柵のところまで伸びているが、柵に絡まってその先までは ほとんど伸びていない。あるいは、ぎりぎりのところでこの柵に絡まっているこ とで、この柵がその下の植物の世界の境界であることが強調されているようだ。
菜月さんのこの月の写真は、一見安全で、居心地のよい感じがするが、それは 主に中央から下へ至る、明るい茶と植物の緑のためだ。画面の下部が、物質や日 常の世界であり、上部が精神や非日常的な世界だとすると、柵が境界となる、上 と下の空間は、下が第2ハウス牡牛座という安心できる居心地の良い月の領域、 それに対し、柵で境界を作られた上の空間は、この安全な月から見れば、超える と危険な第8ハウス蠍座の水星、海王星の領域のように見える。しかし、その柵 には、植物が勢いよく絡み付いており、その幾枝かは、いまや上へ伸び始めてい る。
これは、菜月さんの月にとって、水星、海王星は単にその居心地の良さを脅か すものなのではなく、第8ハウスの可能性を求めて伸びていこうとしていること を表しているだろう。

このように月の成長を見るなら、プログレスの月の位置を見ることが有効だろ う。プログレスの月がリターンし、すぐ後に水星とオポジションになった時、何 をしていたか菜月さんにたずねたが、その時菜月さんは通信講座で占星術とアロ マテラピーを同時に習っていて、この2つにどっぷりつかっていたそうだ。それ は少し前のことになるが、その時の成果が写真に現れているのではないかと思う 。つまり、その時に菜月さんは自分の月の状況を深める作業をしており、すでに 今の菜月さんにとって、第8ハウス蠍座の水星、海王星は、ただ月を脅かすだけ のものではなくなっている、というように思える。


菜月さんのコメント

さて、上の3枚の写真について、本人からコメントが届きました。以下に掲載 します。

研究会が終わってから、私は月について色々考えてみた。
私の月の写真を他の人に考察してもらって、はっとした点がある。①喫茶店に人が写っていない。
②テーブルの上がかたづいている。

この2点だ。

①についてだが、撮影しようとしている時、何度が人が写りそうになったが、 その瞬間はシャッターをおさなかった。
②についてだが、私は喫茶店へひとりで行くと、手帳とペンを出して色々と書 き込んだりするクセがあるのだが、今回、写真を撮るにあたっては、テーブルの 上をかたづけた方が私のイメージにぴったりだと思って、手帳、ペンは写さなか った。

自分では全く気が付かなかったのだが、どうやら私の月のイメージは、どこか 静かでかたい、といったイメージがあるようだ。
自分自身でこの写真を見たときは、月のサイン、牡牛座らしさがそのままよく 表れているな、と思った。自分の顕在意識が、写真にはっきりと表れているとい う感じ。しかし、他の人の意見は、自分の潜在意識をのぞかれたような感じの意 見であった。ハッとしたのは、そのためであろう。

直観的に思ったのだが、出生直前の新月時のチャートは、もしかしてそれ(潜 在意識)にそのまま当てはまるのでは…という気がしてならない。

*出生直前の新月図で、月は天秤座の9.94度で、牡羊座8.94度の土星とオポジ ション。

この配置こそ、静かでかたい、といったイメージにぴったりあうように感じる のは、私の単なるこじつけであろうか……。


菜月さんのコメントについて

出生直前の新月図に気が付いたのはおもしろいと思います。
出生直前の新月図は、次の新月までの期間に生まれた人が共通して持つわけで すが、その人々が共通して持っている無意識的な可能性、という風に解釈できる でしょう。それは月のサイクルによるものですから、月が象徴する個人的な感情 や親しみを感じる領域、また個人的な動機づけの、最初の可能性を表している、 と読めるでしょう。

菜月さんの出生直前の新月図では、月は、土星とのオポジション以外には10 天体とメジャーアスペクトを持ちません。また、このオポジションは、オーブが タイトなため、うっすらとではあっても、意識できるように感じるのでしょう。
マイナーアスペクトでは、木星と海王星とセミスクエアです。これは、かなり 緊張した月の状態かもしれません。

菜月さんの言うように、写真を撮ったりして明らかになる、自分では気が付い ていなかった部分を探るのに、新月図を使うのは有効でしょう。むしろ逆に、写 真などの媒介物なしに、意識に昇ってきづらい新月図を考察することは困難なよ うに思

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